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製版・印刷 モアレの防止
モアレはなぜ起きる?

衣料品カタログの印刷などで特に気を使わなければならないのがモアレです。今回はこのモアレについて詳しく考えてみます。

モアレは、写真に本来はないはずの縞などの模様が印刷時に発生してしまう現象です。風景写真のような自然物をテーマにした写真で起きることはあまりありませんが、商品カタログなどの印刷物ではよく見られ、洋服などで発生するとせっかくの写真が台無しになってしまうこともあります。

モアレは、複数の繰り返しパターンの干渉によって起こります。中学生のころ、音叉を使って「うなり」を生じさせる実験をした人もいるでしょう。異なる周波数の音波が干渉し合うことで低周波の音波(うなり)が生じる、というのがうなりの発生メカニズムですが、これと同じことが印刷物でも起こるのです。

モアレは二つ以上のパターンがなければ発生しませんが、カラー印刷の場合、「網点」というパターンが必ず二つ以上存在します。4色フルカラーの印刷だと4種類の網点パターンが存在することになり、そのうちの二つが干渉すればモアレが発生してしまいます。網点は目に見えないほど高周波の(細かい)パターンですが、その干渉によって生じるパターンは低周波になるので、目に見えるモアレになるのです。

網点を使う以上、網点同士の干渉そのものは防げませんが、モアレの防止はある程度可能です。CMYKそれぞれの網点パターンの角度にできるだけ差をつけるのです。通常のカラー印刷では、シアン、マゼンタ、ブラックの3版の網点角度は30度ずつずらすのが基本です(この場合、イエローには角度の差はあまりつけられないが、元々イエローはモアレが目立たない)。これによって、網点同士の干渉はあっても、モアレのような目に見える形にはなりにくくなります。

また、網点と写真の絵柄の干渉によってもモアレは発生します。絵柄に規則的なパターンが含まれている場合、そのパターンと網点のパターンが干渉してモアレが発生することがあるのです(出力モアレ)。

たとえば、縞柄のスーツや空気の噴出し口が格子状になっているエアコンなど、規則的なパターンを含む画像はモアレになる可能性が高くなります。

さらに、写真をスキャニングするという作業を考えてみると、ラインCCDによるデータ化(サンプリング)そのものが一種のパターン化でもあるため、絵柄との干渉によってモアレの原因になります(入力モアレ)。

仕事によっては、既存の印刷物をスキャナで画像にし、それをあらためて印刷することもありますが、これなどはモアレが非常に発生しやすい作業です。印刷物に使われている元の網点とあらためて印刷する際に生成される網点が干渉するため、そのままだと高い確率でモアレが生じてしまうことになります。

モアレを防止する方法

それでは、モアレを防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。モアレを防ぐには、モアレの発生原因となるパターンの干渉をできるだけ起こさない、あるいは目立たせないようにする工夫が必要です。

まず、網点は適正な角度になっていなければなりません。アナログ製版の時代は、モアレが出たらフィルムの角度を微妙に変えてモアレを防ぐといったことも行われていました。もっとも、デジタル化された現在では、網点について制作サイドでできることはほとんどありません。

また、モアレの出そうな絵柄の写真があった場合は、スキャニングで調整することでモアレを未然に防ぐこともできます。パターンの干渉によってモアレができるのであれば、干渉するパターンをなくせばモアレもなくなるはずです。画像をスキャニングする際、フォーカスを合わせず焦点をぼかす、あるいはスキャニングした画像にぼかし処理を加えると、パターンそのものが完全になくなるわけではありませんが、モアレの発生はかなり抑えることができます。

最近は低価格なスキャナでもモアレ防止機能が備わっていることが多くなっています。もちろん、スキャナまかせの処理だと不十分ということであれば、Photoshopなどでぼかし処理を施すことも可能です。

ただし、画質を考えると、やはりシャープなスキャニングやシャープネス処理も必要です。シャープネス処理とモアレ防止処理はトレードオフの関係にあるわけですから、結局、実際の作業では加減ということが大切になってきます。

なお、デジタル画像ですからシャープネスとぼかしを両立させることも不可能ではありません。手間を掛けられるのであれば、普通にスキャニングした後、Photoshopで範囲を指定し、それぞれ絵柄に応じてぼかし処理やシャープネス処理を適用するというのがベストかもしれません。

ちなみに、ハイエンドスキャナによっては高度なモアレ防止機能が備わっているものもあります。たとえば、大日本スクリーンのスキャナにオプションで用意されている「モアレカットフィルター」は、画素を微妙にずらすことで、パターンを崩すという処理を行います。もちろん、画素をずらすと言っても見た目にはまったく分からない程度ですが、パターンが崩れることでモアレだけが軽減するわけです。

また、印刷物の場合は、スキャナを使わずカメラで撮影したほうがモアレの発生が抑えられるようです。

モアレは、パターン同士の干渉で起きますが、パターンが細かくなってくると、干渉による新たなパターン(モアレ)も細かくなり、肉眼で確認できないものになっていきます。網点のパターンが細かいということは、線数が高いということです。要するに高線数の印刷であればモアレが出にくくなるわけです。また、FMスクリーニングであれば、網点そのものがないため、網点との干渉によるモアレは生じません。

(田村 2006.7.24初出)

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2010.2.5