PDFでの入稿・納品

PDFが原稿として入稿されるケース、あるいは最終データをPDFで納品するケースが増えてきました。PDFは基本的に環境に依存しないデータであり、見えたまま出力されるということで、手軽で安全なデータと考えられていますが、実際にはトラブルが起きることもあります。

PDFが原稿として入稿された場合、PDFをそのまま使うこともありますが、テキストや画像だけ抜き出してあらためてInDesignでレイアウトするケースが当社の仕事では多いようです。そういった場合、PDFを作った方法によってはテキストをきちんと抽出できないこともあります。

コンピュータでは、文字を番号で管理します。テキストデータは実際には番号の羅列であり、ソフトはその番号を参照してフォントから該当する文字を呼び出し、表示・印刷しているわけです。この場合、どの番号がどの文字に当たるかを決めるルールが「文字コード」です。

PDFでは、文字の番号（文字コードポイント）をデータ内に保持し、さらにそれがフォントでどの文字にあたるかという対照テーブルを用意しています。PDF上で文字をコピーするということは、番号をコピーするということに他なりません。その際、対照テーブルが特殊なものであった場合、コピーした番号が正しい文字と結び付けられず、文字化けしてしまうことがあるのです。

こういった場合は、PDFではなく、その元になったデータをあらためて入稿していただくこともあります。

PDFデータを納品する場合は、どのようなPDFが必要なのかを事前にきちんとお知らせいただくことが重要です。PDFは作り方によってさまざまな性質のデータになります。たとえば、Webで使うPDFは、できるだけ軽いというのが前提条件ですが、印刷で使うPDFはPostScript出力と同等の品質で安全に出力できるというのが必須条件です。

さらに、印刷用のPDFを作るといっても、どのように出力するか、あるいは、出力機の種類によってもPDFを作る際の設定は違ってきます。出力に最適なPDFを作るには、出力に関する情報を十分に把握する必要があるのです。
PDFでの納品をご希望の場合は、必要なPDFの条件や出力条件、さらにPDF出力に関して出力機メーカーから提供されている注意事項などを可能なかぎりお知らせください。