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索引

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索引作成の原則

もしインターネットで“検索サイト”がなかったら、今のように誰もが使う便利なものにはなっていなかったでしょう。知りたい情報のありかを素早く知ることが出来るというのが情報の資料性という点で極めて重要であることがこのことを見ても分かります。

一方、紙の出版物には“検索機能”がありません。その代わりに使われるのが“索引”です。インターネットとの比較で言えば、検索したいキーワードをあらかじめまとめてあるのが索引と言えるかもしれません。資料性が重視される出版物だと索引だけで数十ページになることも珍しくありません。

さて、読者にとっては便利な索引ですが、作る側からすればかなり厄介な存在です。索引を作るには、まず索引に掲載するキーワードを選定しなければなりません。次に、そのキーワードがどのページにあるかを調べてまとめ、さらにそれを五十音順など一定の法則性に基づいてソートし、それを元に組版していくという作業が必要です。

ページ数が多いとキーワードを選定するだけでも大変ですが、どのページにあるのかを正確に調べ上げるというのがさらに面倒な作業です。間違っていては意味がありませんが、かといって作業する時間は限られているのです。

索引を作るには、まずキーワードが掲載されている本文のページが確定されていなければなりません。DTP作業に即して言えば、テキストデータが各ページに流し込まれていなければページを調べようがないわけです。

では、テキストが流し込まれた段階で索引を作ればいいのかというとそうでもありません。索引は「本文ページが完全に校了になった段階で作る」というのが大原則なのです。

たとえば初校の段階で索引を作ったとしましょう。作ってそのまま校了になればいいですが、再校や三校の段階で赤字修正が入れば、キーワードの掲載されているページが変わってしまう可能性があります。赤字が入るたびに索引も修正すればいいと思われるかもしれませんが、赤字を修正するたびに索引と照らし合わせてページがずれていないかチェックするのはかなりの手間ですしミスが起きる危険性も高くなります。実際、索引のミスの多くは、索引作成後に修正が入ったことでページがずれたというケースなのです。

正確な索引を作るには、本文が校了になった後に作る(少なくとも全てのノンブルをチェックする)しかありません。ここで問題になるのは、本文が校了になってから作るとなると、索引を作る時間的余裕がなかなか確保できないということです。

索引のリスト自体は原稿や初校の段階でも作ることが可能です。最近はExcelで索引を作ることが多くなり、データそのものはすぐに処理できるようになりました。ただし、ノンブルが合っていなければ意味がなく、そのチェックを人間がやるとなるとどうしても時間がかかるし精度の向上も難しいでしょう。

そういった面倒かつ正確性が要求される索引作成を自動的に行うのが「索引作成機能」です。索引作成機能はFrameMakerなどの文書作成ソフトが得意とするところですが、DTPソフトにも搭載されています。ここでは、InDesignの索引作成機能を例に索引作成の作業を見てみましょう。

InDesignの索引機能

InDesignには索引パレットがあり、ここに索引のキーワードを登録することで索引を自動生成させることができます。ドキュメント上で索引のキーワードを選択し、登録すると、該当箇所にマーカーが付加されます。キーワードの登録はショートカットが使えますし、該当箇所を選択しておけば新規索引項目の入力欄に表示されるので手間はかかりません(漢字の場合は読みの入力が必要)。

マーカーのページは常に把握されているので、修正などでページがずれた場合も自動的にノンブルが変更されます。

索引作成の手順も簡単です。「索引の作成」を実行するとダイアログが現われるので、スタイルなどの設定をして通常の割り付けと同じように割り付けることができます。索引の項目が変更された場合も、割り付け直しに手間はかかりません。

何より便利なのは、キーワードを登録する際、ドキュメント(あるいはブック)を検索して全てのキーワードにマーカーを付ける機能があることでしょう。あちこちのページにあるキーワードを探し出すのはかなり面倒ですが、それを自動的に行ってくれるのです。もちろん、不要なページ参照は削除することも可能です。

なお、レイアウトデータとは別に索引の原稿が作られた場合、作業を効率的にするためにはちょっとした工夫が必要です。InDesignの索引作成機能では、索引リストのテキストを読み込んで自動的に参照ノンブルまで一気に生成するといったことはできません。といっても、原稿を見ながらInDesignドキュメントからキーワードを探して登録していくのでは手間がかかってしまいます。

そこで、索引のキーワード一覧テキストをいったんInDesignに読み込み、それを順番に選択して索引パレットの新規ページ参照で登録していくというやり方をとります(検索して全てのキーワードを追加するオプションを利用する)。キーワードを順番に選んで登録していくだけですから登録ミスはほとんどないはずですし、探す手間がないだけ効率もアップします。読み込むドキュメントは別ファイルにして、本文データとブックにしておけばいいでしょう。全てのキーワードを登録したらキーワード一覧はファイルごと削除してかまいません。

人間がゲラをチェックしながら作る索引と比べると、ソフトで作るほうが正確さははるかに上です。唯一、キーワードを登録する分だけ制作オペレーターの負担が大きくなるというのが難点ですが、編集や校正を含めた全体の効率は向上しますから、考え方しだいでしょう。もちろん、索引作成のワークフローを根本から見直すわけですから、クライアントと話し合い、理解を得ることが前提になるのは言うまでもありません。

(田村 2007.2.13初出)
(田村 2016.5.26更新)

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