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RGB画像の色変換作業のポイント

RGB画像の色変換作業のポイント

RGB→CMYKで失われる色

最近は印刷に使う写真でもデジタルカメラで撮影することが一般的になってきました。一眼レフタイプでも数万円で手に入るようになるなど、デジタルカメラの高性能化も進んでおり、フィルムのスキャニングなどはごく一部の特殊なケースに限られるようになってきました。

デジタルカメラで撮影した画像をDTPで使う場合、カラースペースが問題になります。デジタルデータ上ではすべての色は数値で表されますが、色を数値化するためには基準が必要です。色を表現するための基準をカラースペース(色空間)と言います。

基準を作るだけなら誰でもやろうと思えばできますが、自分だけの基準では他人に通用しません。そのため、画像データをやり取りする場合はsRGBやAdobe RGBといった汎用的なカラースペースを使うのが普通です。また、データを出力する際は、デバイスによって使えるカラースペースが異なるのでデバイスに合ったカラースペースを使う必要があります。

デジタルカメラの画像データはRGBやRAW(デジタルカメラ独自のデータ)独自の色空間などのカラースペースを基準にして保存されています。こういったデータを印刷に使うためには、CMYKのカラースペースに変換しなければなりません。

カラースペースを変換する場合に問題なのは、カラースペースという基準にはそれぞれ限界があるという点です。たとえば、CMYKというカラースペースは各チャンネルで0~100%の範囲が限界になります。-10%とか150%という数値はあり得ないのです。デジタル画像でもっとも一般的なカラースペースのsRGBも、RGBの各チャンネルが0~255の範囲しかありません。

0とか100といった数値は基準を作る際に人為的に決めた(あるいはデバイスの限界で決まった)もので、実際の自然界の色はその外側にも存在します。つまり、これらのカラースペースでは自然にある全ての色を表現することができないのです。

さらに重要なのは、カラースペースによって表せる限界が異なっているという点です。たとえばCMYKで限界の外にある色でもsRGBでは限界内ということがあり得るわけです。デジタルカメラのRGB画像をCMYKに変換する場合、このことが大変大きな問題になってきます。

sRGBやAdobe RGBの場合、CMYKで表せないような彩度の高いオレンジや紫の色が表せます。デジタルカメラで撮影する際も、RGB色空間の範囲内のデータであればきちんと記録されるわけですが、印刷用にCMYKに変換するとこれらの色が表せなくなってしまうことになります。もちろん、CMYKの4色で印刷する以上、これはいかんともしがたいことであり、あきらめるしかないのですが、印刷で高い品質を求めるのであれば、できるだけ近い色が表現されるように工夫する必要はあるでしょう。

CMYK変換のための色補正

品質を重視するのであれば、色が表せないこと、変わってしまったことを感じさせない自然な仕上がりというのが色変換でのポイントになります。

Photoshopの色補正機能を使うと、画像の色を自由に調整することができます。この機能によって、RGBデータの段階で全ての色をCMYKの範囲内に収めながら、見た目が自然で元の画像に近い仕上がりにする、これができれば元データに忠実かつ印刷で破綻のない色変換が可能になるわけです。具体的な作業のコツは試行錯誤して掴むしかありませんが、ポイントは階調と色のバランスをいかに維持するかといったところでしょう。

なお、作業する際、RGB→CMYKでどの色が変わってしまうのかを把握しておく必要があります。Photoshopには「色域外警告」という機能があり、これを使うと変換で変わる色が一目で分かるので便利です。

色変換のマッチング方式

本来であれば、画像ごとに個別に色補正で調整するのがベストですが、それだけの手間をかけられないことも多いでしょう。そういった場合は、色変換時に自動で調整を行うことになります。

Photoshopのカラー設定(詳細設定モード)の「変換オプション」に「マッチング方法」という項目があります。この項目が、色変換時に色を自動的に調整するための設定です。

マッチング方法には「知覚的」「彩度」「相対的な色域を維持」「絶対的な色域を維持」という4つのオプションがあります。

「絶対的な色域を維持」というのは、変換元と変換先のカラースペースで色が重なる部分はそのままにし、変換先のカラースペース外にはみ出す色だけを中に収めるというものです。表せない色は全て色域の限界の色になるので、階調は犠牲になります。

「彩度」というのは色の彩度を最優先に考えた変換です。色そのものが変わっても彩度は維持したいというケース、たとえばプレゼン用のグラフなどのデータに向いています。

「知覚的」は、色のバランスを重視した変換です。色域外の色を中に収めるとともに、それに合わせて中にある色もずらし、全体的な色のバランスを維持します。破綻がなく自然な仕上がりになりますが、元と比べると彩度が下がり気味になるというのが難点です。

「相対的な色域を維持」は、白色点をまず合わせ、さらに色域外の色を中に収めるとともに、色域の限界付近の色をずらすことで階調をできるだけ維持しようというものです。元の色に一番近い仕上がりになりますが、色域の限界付近に色が詰め込まれるためそのあたりの階調が不足気味になります。これを防ぐためには「黒点の補正を使用」オプションをオンにします。

DTPでは「知覚的」と「相対的な色域を維持」のどちらかを使うことになります。どちらがいいかは画像の色と訴求ポイントによって変わってくるのでケースバイケースで使い分けるといいでしょう。一般的には、「知覚的」で色のバランスを重視して分解したほうがトラブルは少ないと思われます。

(田村 2007.2.19初出)

(田村 2016.6.27更新)

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