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文字間隔のコントロール

文字間隔のコントロール

文字の間隔を適切に維持する

最近の印刷物の中には、文字の間隔を詰めて組んだものが少なくありません。詰めて組むことによって、文字を少ない行に収めたりできるわけですが、書体を開発する側からすれば、ベタ組みの状態で適切な文字間隔になるように作っているのであって、できればベタで組んでもらいたいと思っているでしょう。

もちろん、文字を詰めたほうがよい場合もありますが、詰めたことでかえって可読性が悪くなり、“きたない”組版になってしまっている例も少なくありません。そういった場合に文字を組むオペレーターに「どうして文字を詰めるのか」と聞くと、よく「詰めないとスカスカ、パラパラになってしまうから」という答えが返ってきたりします。

「スカスカになる」というのは文字の間隔が空き過ぎになることであり、それを防ぐために文字を詰めるというわけです。ただし、文字を詰めたためにきたない組版になってしまうということは、そもそも最初の組版設計に問題があった可能性が高いと考えられます。

組版を設計する場合、文字のサイズと共に行の長さ(コラム幅)を決めなければなりません。DTPが普及したことで、テキストボックスの大きさをオペレーターが簡単にコントロールできるようになりましたが、そのために適切な行長をきちんと考えずにいい加減な設定をしてしまうケースも少なくないようです。

行長が適切でなかった場合、文字をベタに組んだとしても行にピッタリと収まらず、半端になってしまいます。そうなると、行末に文字がくるようにするには文字の間隔を空けるか詰めるかしかありません。文字間隔を空けるとスカスカになるので詰める、そうすると詰まりすぎて可読性の悪い組版になってしまうわけです。

では、適切な行長にするにはどうすればいいのでしょうか。文字をベタ組みにして行にピッタリ収めるには、行長を文字サイズの倍数にします。たとえば、文字サイズが12級で一行に文字を20字程度収めたいのであれば、3ミリ(12級)×20=60ミリ、つまり60ミリの幅のテキストボックスを作り、そこに流し込めばいいことになります。

もちろん、このように厳密に計算して行長を決めたとしても、約物の連続や行末の禁則、あるいはアルファベットや数字など行を全角ベタで組めないケースがあるので常に適切な文字間隔が実現できるわけではありません。しかし、行長が適切でなければほとんどの文字間隔で(文字詰めなどの)処理が必要になりますが、適切であれば例外的な部分だけを処理すればいいわけで、その優劣はおのずから明らかでしょう。

なお、InDesign(インデザイン)の場合、適切な行長を簡単に指定できるフレームグリッドを使えば、面倒な計算は不要です。ただし、プレーンなテキストフレームでは計算しないときちんとした行長は出せませんし、また、フレームグリッドであっても、文字サイズが設定と異なる場合や、インデントなどで行長が変わってくる場合は、文字サイズと行長の関係を考慮して指定を行う必要があります。

表の組版でも同じような問題が起きがちです。表の場合、十分な行長を取れないことが多く、どうしても文字が空き気味になったり詰まり気味になったりします。この場合も、文字サイズとセルの幅を考慮して適切な行長を割り出し、その行長になるようにセルのマージンを調整する必要があるわけです。

文字間隔を空ける処理

日本語の組版では、名前リストなどで文字間隔を空けて組み、文字列の幅を合わせることがよくあります。そういった場合、文字と文字の間に全角や半角スペースを入れて組むことが多いようです。確かに、スペースを入力して合わせる方法は手軽にできて便利な面もありますが、数が多くなると面倒ですし、文字列の幅が変更になったら全部をひとつずつ変更しなければなりません。

また、DTPデータをWebやデータベースに流用するといった場合は、スペースが邪魔になることもあります。とはいえ、カーニングや字送りといった機能を使うにしてもひとつずつ指定するのは同じですし手間も変わりません。

InDesignには、こういった場合に便利な「字取り」という機能が用意されています。この機能は、選択した文字列の幅を指定した字数に合わせて調整するというもので、たとえば5文字の文字列に「10」の字取りを適用すると、自動的に文字間隔を広げて10文字分の幅にしてくれます。

この機能は便利な機能ですが、ひとつ問題があります。それは、この機能がフレームグリッドを前提にした機能であるという点です。フレームグリッドで字取りを使った場合、そのフレームグリッドに指定されている文字サイズを基準に、その文字サイズ×指定した数で文字列の幅がコントロールされます。基準となる文字サイズを変更したければ、フレームグリッド設定を開き、書式属性の文字サイズを変更します。

ところが、プレーンなテキストフレームの場合、フレームグリッド設定はありません。文字列のサイズを変更しても字取りで基準となっている文字サイズは変更されず、通常は13級を基準に字取りされてしまいます。

実は、InDesignではプレーンなテキストフレームにもフレームグリッド設定の文字サイズの情報が保持されていて(デフォルトは13級)、それが字取り機能を使う際に効いてくるのです。

プレーンなテキストフレームで字取り機能を使う場合、テキストフレームに隠されているフレームグリッド設定の文字サイズを変更しなければなりません。そのためには、いったんフレームの種類をフレームグリッドに変更し、そこで文字サイズを適切な数値に書き換え、さらにフレームの種類をテキストフレームに戻すという作業が必要です。

この作業を行うことで、テキストフレームに隠されている文字サイズ設定が変更でき、思ったとおりの文字サイズを規準に字取りを行うことができるようになります。

なお、いったんフレームグリッドに変更することで、フレームの幅や文字の設定などが変わってしまい、テキストフレームに戻した際に調整し直すといった手間が生じるかもしれませんので、このデメリットと字取り機能が使えるというメリットを比べて処理を決めるべきでしょう。

(田村 2008.7.7初出)

(田村 2016.5.25更新)

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