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DTP全般 Wordからの印刷
Wordから印刷したいというニーズとその対応について考える

Wordはビジネス文書作りのデファクト的存在ですので、オフィス内の文書のほとんど全てはこのWordで作ることになります。

ビジネス文書・オフィス文書ですから通常は1文書あたり数枚程度、印刷はオフィスのプリンタから数部程度というところでしょう。

でも業務の中では社内向け・社外向けに数十〜数百部印刷・製本したいというニーズも発生し、さらに資料系を中心に、自らが作ったデータを元に数千部印刷・製本したいという需要もあります。

デフレでどこの会社でも予算がタイトですから版下の「元」を提供すれば版下代はかなり安く済むと思いますし、校正も楽が出来そうです。印刷後に印刷に使ったWordデータをもらえば自分たちで手を入れて改訂したり、流用したりできることも大きな魅力です。このニーズは官公庁・協会・財団系に多いようです。

ということでWordデータから印刷したいというニーズは、かなりあるのです。

印刷会社側のWordデータの受け入れ体制

ではこれらのニーズに対する印刷会社の受け入れ体制はどうなっているでしょうか?

Wordはワープロのデファクトです。Windows95登場前のデファクトはパソコンでは一太郎、ワープロ専用機ではOASYSでした。

印刷会社でも昔はOASYSを使っていました。でもそれは文字入力専用機としてであって、けっして印刷組版※の道具として使うことはありませんでした(一部のタイプ・軽オフ印刷会社では清書用として使われていました)。

ということで、印刷会社は印刷の道具としてWordを使うことはまずありえないので、制作・製版の現場でもWordを受け入れる体制はあまり整っていないことが普通のようです。

印刷営業のWordの知識

良くあるケースが、見た目ちゃんとした版下風に仕上げてあり、図も表もレイアウトできていて問題はなさそうなのですが、PSではまともに出力でない。少なくとも字送りは大幅に変る。実に良くあるケースです。「少し手直しする」というよりも「ほとんど作り直す」ことになります。

そこで印刷会社の営業担当者が「お預かりしたデータですが、現場からまともに出力できないし、ほとんど作り直しということです」とクライアントに告げると・・・「こんなにきれいにちゃんと紙が出てるのに、なんで出せないとかいうんだ! なんで作り直す必要があるんだ!」とお叱りを受けるわけです。

この様な体験のある営業担当者は多いのではないでしょうか?

当社では4年前にこのような共通する悩みの解説集を作ったことがあります。今回これを少し直して次のようにまとめてみました。

Wordできれいな印刷物を作るためのアドバイス

Wordはオフィスソフトの標準ツールであり、今日では社内文書に留まらず社外向けのプレゼンやマニュアル作成等にも活用されています。それにともないお客様が作成されたデータから本格印刷したいという要望も増えています。

1,000部程度でモノクロであれば「Wordの出力紙」そのものを版下にしてしまえば問題は網掛けくらいのものです。台割とノンブルをチェックして清刷を印刷会社に渡せばあとは本が出来てくるでしょう。

はやりのオンデマンド印刷ではデータから直接プリントしますので色合いを気にしなければ色刷りも充分可能です。「オンデマンド印刷機」のある印刷会社か都内各所にある「オンデマンド」と看板のあるサービスビューローに持ち込みましょう。でもデータの作り方によりすんなりと印刷出来ないことは少なくないようです。さらに印刷品位を求めたり、大量印刷の場合はPS版という刷版を介してオフセット印刷する必要が出てきます。

ここではWordからオフセット印刷するための、そしてオンデマンドできれいな印刷物を作るためのポイント。すなわち問題の少ない「作り方」についていくつか解説します。

1.プリンタドライバーの問題

Wordはそのレイアウト生成をプリンタドライバーに依存しています。お客様が作成する文書レイアウトはプリンタドライバーで制御されているのです。作られたファイルを異なるプリンタで出力すると『字送り』が変ってしまいます。

EPSONのプリンタ設定下で作られたデータをCANONの環境で開けば、プレビュー画面は異なり印刷結果も当然異なります。同じメーカーのプリンタでも機種毎にドライバーは異なり、さらにドライバーのバージョンによっても印刷結果が異なる場合もあります。

通常の5〜10万円前後のGDIプリンタ環境で作成したそのままのレイアウトで、オフセット印刷用(PSファイル)に置き換えることは出来ません。PS環境上でデータ整形後に製版・刷版処理する必要があります。

2.カラーの処理は?

オフセット印刷でカラー印刷するためにはCMYKと呼ばれる分版処理が必要です。しかしWordはRGB方式でありCMYK分版処理は出来ません。RGBをCMYKに分版するソフトもありますがRGBの近似値で分版しますから数値的には「近似」でも肉眼的には「全然違う」ことが少なくないようです。よってオフセットでのカラー印刷は避けた方が賢明です。

モノクロ画像に関しては、1200dpi程度の解像度が必要です。インターネットでダウンロードした画像等は72dpi前後と思われますので、オフ印刷への使用は無理です。仮に高解像であっても、リメイク・出力を依頼する際には分解元や加工前ファイルを一緒に添付する必要があります。

3.Excelワークシートを本格印刷したい

Excelワークシートを「そのままページアップして印刷したい」というご要望が寄せられます。しかしExcelは表計算ソフトでありページ組機能が用意されておりません。紙版下利用以外では全てWordに貼付けてWordから出力することになります。

Wordレイアウト上にExcelワークシートをカット&ペーストする作業を施すことになりますが、ワークシートの計算機能が生きるオブジェクト貼りつけをした場合は、罫種の選択が出来ず、また破線が消滅したり実線となったりのトラブルが出ます。印刷する為にはWord上の罫表データとして取り扱いリンクは切ります。

Excelのデフォルトの細い罫線は0.1ポイント(0.035ミリ)です。そのまま貼り付けるとPSプリンタでは普通に見えても製版フィルムではかすれ、刷版ではほぼ消滅し、刷りでは完全に消えます。

4.FONT使用上の注意点

MS P FONT等、「P」の付くプロポーショナルフォントはPSファイルに置き換えたときに字が重なりますので使用は避けてください。その他にも文字欠けするフォントは結構存在します。

5.データ作成上の注意点

「凝った作り」「凝ったレイアウト」は問題が続出します!

凝ったレイアウトは作り直しが必要となる場合があります。1行・1ワード中にボールド、斜体、複数書体、複数ポイント、複数色が混在している場合エラーだらけになります。

ワードアートのようなオブジェクト機能や拡張書式にも問題があります。図も貼り方によりレイアウトが崩れたり出力出来なかったりします。

これらトラブルを回避するために「プリプレス用PDF」にすれば切り抜けられるのではという発想もありますが、元データにエラー要因を抱えているかぎりは出力時には正直にエラーとなり、場合によっては作り直しとなります。

まとめ

複雑なレイアウトの印刷物、写真や画像の多い印刷物、色物、高品位を求めるときは、初めからInDesign(インデザイン)などのDTP専用ソフトで作ることをお薦めします。

Wordは簡単なようで印刷物にするのはいろいろと工夫が必要です。Wordで手直し・整形・頁アップが必要な時は当社にお声をかけてください。

(塩原 2004/9/6初出)

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