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色分解の基礎 |
画像の色分解
最近はデジタルカメラの普及で、写真がはじめからデジタルデータになっていることが多くなりました。デジタルカメラのデータはRGBカラースペースで記述されているため、印刷に使う場合はCMYKに変換(色分解)しなければなりません。
従来、色分解はスキャニング時に行われるというのが一般的でした。専門のオペレーターがドラムスキャナを使ってスキャニングしていたため、一般のDTPオペレーターはCMYK分解についての知識もなく、ほとんどお任せということも珍しくなかったのです。
ところが、デジタルカメラの普及によってスキャナのニーズが減ってくると、色分解を誰がいつ行うかというのが問題になってきました。最初からデジタルデータになっているデジタルカメラ画像だと、色の専門家であるスキャナ・オペレーターの出る幕がありません。
最近では、制作段階ではRGB画像を使い、最終出力時にRIPなどでCMYKに変換して出力するワークフローをプリプレスメーカー各社が提案していますが、このワークフローの前提となるカラーマネージメント環境がいまだに定着していない現状を考えると、このやり方が主流になるのはまだ先かもしれません。
結局、カメラマンや制作オペレーターがPhotoshopを使ってやむを得ず色分解作業を行うというケースが増えているようです。ただし、いくらPhotoshopが高機能でも、使いこなすのは人間である以上、色分解についてある程度の知識は必要になってきます。
Photoshopの色分解
Photoshopには、以前から高度な色分解の機能が備わっていました。ただし、バージョン5を境に、その機能は大きく変化しています。
Photoshop 4までの色分解は、ユーザーがRGBとCMYKの設定を個別に行い、「イメージ」→「モード」→「CMYK」を実行すると、各設定を元に変換が行われるというやり方でした。特にCMYKの設定には印刷の知識も求められ、色の素人が簡単に使えるというものではありませんでした。
Photoshop 5になるとカラーマネージメントの考え方が導入され、現在ではRGBとCMYKのプロファイルを指定するだけで色分解をコントロールすることができるようになっています。
最新バージョンにはジャパンカラーやJMPAカラー(雑誌広告基準カラー)に準拠したCMYKプロファイルが複数用意されています。これらのプロファイルを指定すれば、印刷がとんでもない色になってしまう危険はかなり減るはずです。
とはいえ、これらのプロファイルはあくまでも標準的な色を目指すものであり、場合によってはユーザーが独自の設定をしなければなりません。そのためには、ある程度色分解について理解しておくことも大切でしょう。
CMYK設定
最新バージョンのPhotoshop CS2でも、以前の色分解の設定は残されています。「カラー設定」でCMYKの作業用スペースに「カスタムCMYK」を選ぶと、従来のCMYK設定画面が現われます。ここにある項目は全て印刷の色を決める重要なものばかりです。
具体的に見ていきましょう。ここの設定は、「印刷インキ設定」と「色分解オプション」の二つに大きく分けられます。
印刷インキ設定には、印刷インキのベタ濃度(および二次色・三次色)を指定する「インキの色特性」と、印刷インキのドットゲインを指定する「ドットゲイン」があります。この二つの項目は印刷の色を決める最大の要素ですが、いずれも印刷機の性質や状態、紙質によって変わってきますし、何より印刷オペレーターが印刷物の色をどのようにしたいか、ということに左右されます。それだけに、制作オペレーターとしては印刷サイドから情報を提供してもらわないことには指定のしようがない部分とも言えます。
次に、色分解オプションの欄を見ると、色分解の種類(GCRおよびUCR)、墨版生成、黒インキの制限、インキの総使用量、UCAといった項目が並んでいます。
色分解でまず問題となるのは、墨版をどのように作るかということです。本来、色の三原色はシアン、マゼンタ、イエローであり、ブラックはありません。つまり、ブラックがなくてもフルカラーは可能なわけです。ただし、グレーの安定性や黒ベタの再現性、インク使用量の節約を考えると、墨版も必要になります。
CMYを掛け合わせることで黒が再現されることを考えると、CMYの掛け合わせによるグレー成分は墨版に置き換えられるはずです。GCR・UCRや墨版生成は、CMYをどのように墨版に置き換えるかを指定するものです。
簡単に言うと、GCRはCMYの掛け合わせによる薄いグレー成分の段階から徐々に墨版に置き換えるもの、UCRは濃いグレーで墨版を入れていくものとなります。また、墨版生成は、GCR時にどれくらい墨版に置き換えるかをコントロールするための設定です。たとえば墨版生成を「最大」にすると、CMYの掛け合わせグレー成分を最大限墨版に置き換えますし、「なし」だと逆に墨版を一切使わず、CMYの掛け合わせだけで黒を表現することになります。
また、画像を色分解する際、注意しなければならないのは、印刷ではインクの総使用量に限界があるという点です。CMYKと一言で言いますが、実際にCMYKを全て100%で掛け合わせて印刷するのは難しいのです。
フルカラーの印刷は、4色のインクを一度に刷れる印刷機を使うのが普通ですが、その場合、インクが乾く前に次のインクを重ね刷りすることになり、後のインクが完全には乗らない「トラッピング」という現象が起きます(毛抜き合わせのトラッピング処理とは別物)。また、インクの量が多いとインクが剥がれるなどの印刷不良にもつながります。
こういった事態を避けるためには、インクの合計使用量をセーブすることが必要なのです。通常、インクの総使用量の上限は300%前後ですが、印刷機や紙などの条件によって変わってくるので、印刷現場に確認しなければ決められません。
以上見てきたように、印刷の状況を正確に把握していなければきちんとした色分解は本来できないのです。プロファイルを使った簡便な色分解が主流になってきた昨今ですが、プロファイルのカスタマイズやカラーマネージメント製品の扱いなどを正しく行うためにも、ユーザーには十分な知識が求められていると言えます。
(田村 2006.9.11初出)
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