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文字について

日本語の仮名遣いを整理する


歴史的仮名遣い

一文字一文字に意味がある漢字は「表意文字」です。一方、中国から伝わった漢字を元に日本で作られたひらがなやカタカナは、文字そのものには意味がなく、音だけを表す「表音文字」です。つまり、日本語というのは、表意文字と表音文字の組み合わせで構成されている言語なのです。


表音文字である仮名を使えば、日本語の発音をそのまま表記することができます。ところが、発音というものは時代が移ることによって変化していくものです。ある時代の発音に忠実に従った仮名の表記は、次の時代には発音と食い違いが生じてしまうのです。


常に発音にあわせて仮名を表記するとなると、仮名についての表記法もどんどん変えていかなければなりませんが、時代を超えて残る書き言葉の表記法はそれほど頻繁に変更するわけにはいきません。つまり、表音文字を使っていても、仮名表記を正確に発音に合わせるのは簡単なことではないのです。


ある特定の発音にしたがって仮名の表記法を定めることを「仮名遣い」と呼びます。絶えず変化を続ける発音と違い、仮名遣いは時代をまたがって使われてきました。


歴史的に使われてきた仮名遣いとしては、古事記や万葉集などの奈良時代の文献において万葉仮名で使われている「上古特殊仮名遣」、藤原定家が古い草子本の用例を元にまとめた規則を室町時代の僧、行阿が修正した「定家仮名遣」、江戸時代の国学者、契沖が古い文献をあらためて研究し直して定家仮名遣を修正した「契沖仮名遣」を元に、本居宣長などが改訂を加えた「復古仮名遣」などがあります。このうち、復古仮名遣は「歴史的仮名遣い」とも呼ばれ、明治から戦前まで一般的な仮名遣いとして使われてきました。


歴史的仮名遣いは、平安時代初期の発音や表記法を元に、それ以前の発音や表記も考慮されており、現代の仮名遣いに比べると、語源や文法的に正確な仮名遣いとなっています。


時代によって変化しやすい発音でなく、変化の少ない文法や語源に基づく仮名遣いであるため、発音が変化しても仮名遣いを変更する必要がないというのが歴史的仮名遣いのメリットですが、逆に言うと、現代の発音とはかなり違っている表記なので覚えるのが大変というデメリットにもなっています。


現代仮名遣い

第二次世界大戦後は、漢字の廃止を前提にした漢字制限(当用漢字表の告示)が実施されるなど、日本語のあり方について大きな変革が断行された時代であり、漢字だけでなく、漢字とともに日本語を形成する文字である仮名についても、新しい改革が行われました。


昭和21年、「現代語音にもとづいて、現代語をかなで書き表す場合の準則」として「現代かなづかい」が内閣告示されました。なお、現代かなづかいは昭和61年には廃止され、代わりに強制的な色合いを薄めた「現代仮名遣い」が告示されています。この点も漢字政策と歩調を合わせているようです。


このかなづかいの特徴は、現代の音韻に基づいた表記を大幅に取り入れているところです。


発音に合わせるために、たとえば従来「ゐ」としていた表記は「い」に、また、「ゑ」→「え」、「を」→「お」、「くわ」→「か」、「ぐわ」→「が」、「ぢ」→「じ」、「づ」→「ず」、「は」→「わ」、「ひ」→「い」、「ふ」→「う、お」、「へ」→「え」、「ほ」→「お」といったように変更されました。


また、音を伸ばす場合も「いう、いふ、ゆふ」→「ゆう」、「あう、わう、あふ、はう」→「おう」、「かう、くわう、かふ、こふ」→「こう」、「さう、さふ」→「そう」、「たう、たふ」→「とう」、「なう、なふ、のふ」→「のう」、「きう、きふ」→「きゅう」、「しう、しふ」→「しゅう」「にう、にふ」→「にゅう」、「きやう、けう、けふ」→「きょう」、「しやう、せう、せふ」→「しょう」、「ちやう、てう、てふ」→「ちょう」、「ひやう、へう」→「ひょう」、「みやう、めう」→「みょう」、「りやう、れう、れふ」→「りょう」などといった変更が行われています。


これによって、たとえば従来は「ゐど」だった井戸が「いど」となり、「くわじ」だった火事が「かじ」、「いうじん」だった友人が「ゆうじん」、「さうぢ」だった掃除が「そうじ」、「たふべん」だった答弁が「とうべん」、「ばうちやう」だった膨張が「ぼうちょう」、「えうりやう」だった要領が「ようりょう」、「てふ」だった蝶が「ちょう」になるなど、言葉の表記が大幅に変わりました。


例を見ると実感されると思いますが、この現代かなづかいはかなり現代の文章に浸透しており、今さら歴史的仮名遣いに戻すのは難しいでしょう。しかしながら、文学者などを中心に、文法や語源に忠実な歴史的仮名遣いに戻すべきという意見も根強く存在します。


現代仮名遣いの問題としては、「を」→「お」、「は」→「わ」、「へ」→「え」という原則があっても、助詞の「を」「は」「へ」はそのままだったり、「ぢ」→「じ」、「づ」→「ず」の規則についても、二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」はそのまま(例「鼻血」「入れ知恵」「三日月」「味噌漬け」など)、同音の連呼によって生じた「ぢ」「づ」もそのまま(例「ちぢむ」「つづみ」「つづく」など)といった例外的な規則があるなど、完全な表音主義でも語源主義でもない中途半端さが挙げられるでしょう。


ちなみに、二語の連合で生じた「ぢ」「づ」はそのままという例外ルールですが、「せかいじゅう(「せかいぢゅう」のはず)」「つまずく(つまづく)」「うなずく(うなづく)」などは例外ルールの例外ということになります。また、「じめん(ぢめん)」「ずが(づが)」といった例外もあります。このように、例外的なルールがかなり多く、分かりやすい仮名遣いを目指した現代仮名遣いが、結局のところ複雑にならざるを得なかった点も批判の対象にされているようです。


(田村 2006.9.4初出)



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