地図関係や旅行書の分野で高いシェアを誇る昭文社。『スーパーマップル』シリーズなどの道路地図でお世話になっている人も少なくないでしょう。1960年に創業した同社は、地図出版の分野で確固とした地位を築くとともに、国内外の観光地や旅行施設を掲載したエリア別やテーマ別の旅行ガイドを数多く出版しています。
同社の旅行書編集部は、エリアごとの商品を中心に作る1課、温泉などテーマ別の商品がメインの2課など、本の性格によって部署が分かれています。インフォルムがこれまで受注してきたのは2課のテーマ別のガイドブックが中心です。
温泉宿などの情報を集めた旅行ガイドの場合、できるだけ多くの情報を分かりやすく掲載するために、数パターンの定型フォーマットを使ってレイアウトをしていきます。ただし、旅行ガイドは情報の正確さと鮮度が命だけに、訂正や差し替えも頻繁で、校了ギリギリまで修正が続くことも少なくありません。そういった意味で、編集部と制作側の連携がうまくいくかどうかが作業の効率を大きく左右することにもなってきます。
インフォルムの制作が実際にどう評価されているのか、昭文社の制作本部旅行書編集部編集2課課長の星野俊也氏におうかがいしてみました。
営業と制作とのスムーズな連携
制作本部旅行書編集部編集2課課長 星野俊也氏 「インフォルムさんの評価は基本的に高いです。具体的にいうと、まず、営業のフットワークが良い。時間的な面とか頻度などを含めて、進行が潤滑にいくように対応していただいています。
それから、現場の制作への連絡がスムーズにいっているというのも評価できる点です。営業の方(インフォルムの担当営業は大垣)にお話ししたことが、すぐそのまま現場に伝わるのがいいですね。
さらに、営業の方がDTPに関する知識が豊富であるというのもありがたい点です。来社したときに、業界の動向などもお話ししていただいたりして非常にためになります。
他社さんの場合、いつも来るのはデリバリー専門の方という場合もありますし、営業の方が来る場合でも、DTPの問題について尋ねると、内容にもよりますが「現場に確認します」という回答になることが多いケースもあります。
インフォルムさんの場合、現場の方とまではいかなくても、営業さんに聞いた段階で何らかの回答が得られたり、「こうじゃないか」というアドバイスをしてもらえます。それによって、問題解決への足掛かりが得られますし、また、スケジュール面でも調整できるといったことで高く評価をしています。
また、組版会社の担当の方がなかなかつかまらず、「こっちは急いでいるのに」とイライラすることもあります。インフォルムさんの場合、担当営業の方がいないときでも折り返しですぐ連絡が来るというのも助かります。
なお、担当編集者が制作現場のほうに時々お邪魔して(出張校正)深夜まで面倒を見ていただいたことがあります。これは、普通からいくといいことではありません。そもそも無理な対応をしなければならないような進行をしてはいけないのですが、いいかどうかは別として無理な対応をしてもらっています。進行上の不手際などで生じた無理を御社でフォローしてもらっているということで、その辺は非常に助かります。スケジュールが遅れていて、こちらからお渡しするデータが一日遅くなった場合でも、出稿がその分延びます、ではなく、何とかしてみましょう、という対応もしてもらっています。
内部校正の精度も高いですね。もちろん100%完璧ではないのですが、赤字の修正もれは数えるほどです。今までの経験から言って非常に精度の高い内校をしていただいているという印象があります。
漢字など赤字以外の明らかなミスについても、判断して直してもらったうえ、「こう判断してこう直しておきました」と申し送りがあったり、あるいは「どうしますか」と問い合わせいただく、といったことがあり、とても助かります。
Excelのデータを流し込んでもらう作業などは、お得意の分野でもあり非常に完成度が高いと思います。まったく違うところにデータが流し込まれているということもなく、ほぼ信頼できる仕上がりでした。
当社の商品の場合、IllustratorやQuarkXPressなどのソフトが違ったり、バージョンが違ういろいろなフォーマットが混在しています。しかも流用が多くて、画像やデータの流用、過去の資産の活用と、いろいろなものを寄せ集めて作っていくわけですが、それも比較的スムーズにいっているかと思います。
データの作りに関して、出力してもらう印刷会社からの注意や報告は今のところありません。安心して最終データの入稿ができています。最終データの入稿時は、厳しいスケジュールですべての人がかつかつしているときですから、書き出してもらったPDFをRIPで引っかかった、なんてことがあると、無理して締め切りに何とか間に合ったのに、ということでストレスも大きいのです。そういったことは全くありません」
料金設定とデザイン面の要望
星野氏 「一方、料金面では要望があります。初校は金額的に遜色ないところを出していただいているのですが、再校以降で、この修正内容でこの金額かなという場合があります。
修正が何点以上だとこの金額、少ないときはこの金額、と細かく分けている会社さんもあります。そういう設定が可能であれば、この商品は修正が多かったのでコストがかかった、これは少なかったのでコストも少ない、というのがより明確になります。
それから、現状ではデザイン重視のページはデザインをデザイナーもしくは他社にお願いし、インフォルムさんに最終的に組版をお願いしています。ある程度のクオリティのデザインが可能であれば、うちとしてもセットでお願いできるので手間が減ります。
なお、デザインについては、組版会社さんから別のデザイナーにお願いしているケースもあるようですが、内部でやられているケースのほうが、比較的いい仕上がりになっていることが多いようです。外に出すと、どうしても連絡がうまくいかないことが多く、話したことが間違って伝わることもあります。外に出す場合はよっぽど意思疎通がしっかりとれないと難しいでしょう。
いずれにしても、今のところは非常によくやっていただいているのですが、これから3点4点重なったときに同じクオリティでやっていただけるのかな、という心配がないことはありません。今はまだ2課だけの仕事をやっていただいていますが、こっちもあっちもとなったときにフレキシブルな対応ができるのか、どの辺までできるのか、とおせっかいですが心配はあります。
旅行ガイド本の出版点数はシーズンによって全然違います。点数が多い月に、最初はバランスよく配分していたとしても、出版日が変更になったり進行が早くなったり遅くなったりして最初の計算とは違ってきてしまう、そういうときにどこまで踏ん張れるかというのは、会社によって違います」
カギとなるセンス
星野氏 「フォーマットが決まっていて、その中に納めなければならない、しかもデータがきちんとなっているとは限らない場合、それをどうその中に封じ込めるかということがあります。テキストレベルでもできるだけ整理はするのですが、やはり紙面に展開したときの最終的な調整に任されてしまいます。その調整が手間暇かかってしまうので、そういったものは感覚、センスがポイントかなと思います。
たとえば、文字あふれしたときにどう処理するかというのは、決められる場合も決められない場合もあります。一律に文字あふれは全部ここに出す、という方法、収められるものは収めるがそうでないものは出す、という方法、あるいは、長体をかける度合いとかでも、オペレーターや会社によってそれぞれです。一概にどれが正しいということは言えませんが、かゆい所に手が届くようなオペレーションをしてもらったとき、担当者は非常に喜びます。
それは「ここはこうしたいんだろうな」というのをオペレーターさんがきちんと考えてやっているのでしょう。1文字くらいは誰でも入れますよね、でも「ここまでやるか」みたいなケースもある。そのあたりバランス感覚のよい人がやってくれた場合は担当者が喜んでいますね。杓子定規でやってくるところは「まあしょうがないか」みたいな。
単純な組版より、プラスアルファみたいなところが大切なのです。規定文字数に収めるだけだったら誰でもできます。そうでないイレギュラーなときにどう対応するか、ということですね。
おかしな部分があって「ここはどうしますか」みたいに申し送りをしていって、そのうちしだいに申し送りも少なくなってきて、「さっきこう言われたんでこれもそうしました」みたいな感じで信頼ができていい関係になっていくと、よりスムーズに流れるのではないかと思います」
昭文社Webサイト http://www.mapple.co.jp/
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